2014年4月25日15時にスタートしたウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)。
前回までのブログは以下より。
①スタートまで
②スタート~A3山中湖きらら
③A3山中湖きらら~A7富士山こどもの国
④A7富士山こどもの国〜A9麓

元気にエイドを出発したつもりでも、走りだすと身体が重い。思うように前へ進まない。しばらくは小走りと歩きを交えて進む。さすがに120kmを越えて走っているだけはあるが、まだ120km、あと40km…。

コースは水の流れていない川を進む。大きな石が一面の路面、走りにくい。
気温が一番高い時間帯、日差しを遮ることができない草原、川を走り体温が上がり汗が出る。
ほぼフラットな地形だが走り続けることがキツく感じる。
進み続けると東海自然歩道に出た。天子山地に沿ったこのトレイルを黙々と進む。

この東海自然歩道〜竜ヶ岳への上り始めの区間で数人のランナーと出会い、会話を交わしながらランを続けた。ハセツネ30Kで僕を見かけて覚えてもらっていたランナー、100マイル初出場ながら24時間以内の完走を狙っていたランナー、アイスランドのランナー、前半に並走したチョッパー。
自然歩道ではこの方々から遅れてしまったが、竜ヶ岳の上りが始まると僕のほうがペースが上がり集団の前に出た。皆、様々な疲労や痛みがあるだろうけど、ゴールまで行こう。

この上りが本当にキツかった。身体が重く、上へ引き上げるがなかなか上がらない。まるで重りをつけているよう。前区間で完全に消耗した身体にこのつづら折りの上りは苦行でしかない。
息は切れ切れ、早くピークに到着することだけを考え、手を腰に当ててみたり、手でバックパックを持ち上げてみたり、どうにかして身体の負担を軽くする方法がないものか。

長い長い上りからようやく解放され、笹が一面の山頂へ向かうトレイルを行く。これを笹の海という表現があったが、まさに海原にできた道をいくよう。山頂の広場からは大パノラマが広がるが、今は見て楽しむ余裕は全くなし。上りが終わったという安堵感のみ。
休む間もなく下り始める。この下りが意外に気持ちよく下れた。疲れ果てているが、下りは身体が動く。オフィシャルカメラマンのの田中さん(有名なアドベンチャーレーサー)に撮っていただいた。「やっと登ってこれましたよ!」

その後は長い長いつづら折りのトレイルを下り、ようやく本栖湖の麓に下り着いた。
誘導の方に「あと何kmですか?」「あと1kmほど」しかし、実際は約3kmもあった。
いつ到着するのか。あの先か。あのカーブを曲がればエイドが見えるはず。まだか。その次か。そういえば3kmほど走るって友達から聞いたよな?
ようやくエイドに近づくと応援者の車が増え始め、沿道から応援をいただくようになる。
あぁ、長かった。A10麓のエイドに到着。

このエイドでも、パンとバナナとゼリーを食べた。ここまでくるとこの程度しか喉を通らない。
少しお腹が満たされると急に睡魔が襲ってきたが睡眠をとる時間はない。
次の鳴沢のエイドではサポートは禁止されている。そのため、次に友人と会えるのは河口湖のゴール。「何があってもゴールに行きます。一緒にゴールしましょう。待っててください。」
さぁ、行くしかない。行ってきます!

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今年の本栖湖エイドは昨年とは違いコンパクト。

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眠気があるが休憩している余裕はない。行くよ!

A9麓~A10本栖湖 15.3km(スタートより138.6km)
到着予定/14:36(2:51)、通過時間/16:53(2:50)、エイド滞在時間18分
総合151位、男子136位、区間53位

エイドを出ると建物の裏側へ回り、すぐに上りが始まる。もう何度、上ったり下ったりしただろうか。残った大きな上りはあと4つ。

中ノ倉山へのピークに辿り着く手前、ピークまであと50mほどの上りを残すところだろうか。
ここで下から見上げた木々の中にマツダのMPVという車が見えた。山の上に車(??)ドライブウェイでもあるのだろうか。山頂に到着すると車は無い。四方を見渡しても道は無い。そうか、これが幻覚か。車業界に働いているだけに車の幻覚を見たのだろうか。(笑)

このピークを下りきるとこまかなアップダウンを繰り返し、次のパノラマ台を目指す。日が落ち始め薄暗くなってきた頃、前から黒い犬2匹を連れた女性に会った。応援のため登ってこられたと思った。すれ違う際に挨拶をすると、女性から声をかけてこられた。
「本栖湖から犬と一緒に登ってきたのですが、間違えて反対側へ来てしまったようです。本栖湖はどっちですか?」
「逆の方向ですよ。もうすぐ日が暮れます。ライトはお持ちですか?」
「ライトは持っていません。すぐに下ります。」
「大会のマーキングを辿っていけば本栖湖に下りられます。気をつけて!」と会話を交わした。
ライトをお貸ししたかったが、手持ちはヘッドとハンドライトの2個のみ。ハンドを渡してしまうと電池消耗の激しいヘッドの電池交換が出来なくなってしまう。ライトを渡さなかったことが気がかりだった。手にスマホをお持ちだったから、いざとなれば簡易的なライト代わりにできるだろうと考えながら先を急いだ。
先ほどの車と違い、これだけ会話を交わしたのだから幻覚ではないはず。無事に下山されたことを願う。

本栖湖を見下ろす素晴らしい景気が見られるパノラマ台に到着したころはもう真っ暗。何も見えない。またすぐに山を駆け下りる。

次に待ち受けるのは、緩やかに上り続ける国道の歩道。150km近くを走ってきた身体と心に厳しい試練だ。これが約6kmも続く。こういうロードで気持ちが切れてしまうといけない。
走りたい。でも、歩きたい。心が葛藤を繰り返す。左脚の足底筋をだましだましにきたが、この頃から痛みであると分かるようになってきた。出来るだけ走り、少し歩きの繰り返しでエイドに着くことだけを考えながら進み続けた。

徐々に灯りが見えてきた。沿道から応援をいただけるようになり、エイドが近いことが分かった。ここから回り込み、A11鳴沢のエイドに到着。
深夜なのに賑やかに音楽が流れている。ランナーには最後のエイド。きっと元気になるように賑やかで明るい照明にしてもらっているのだろう。急いでバナナとコーラをいただきすぐに出発。

さぁ、次はゴールの河口湖だ。もう泣いても笑っても、あと1区間。悔いのないようにいけ。
当初の目標より大幅に遅れているうえに、この区間は予定よりも1時間も遅れた。本当に情けない。最後くらい男を見せて死に物狂いで走れ!少しでも遅れを取り戻せ!行け!
自分に喝を入れ走り出す。

A10本栖湖~A11鳴沢 19.0km(スタートより157.6km)
到着予定/17:44(3:05)、通過時間/21:11(4:00)、エイド滞在時間5分
総合131位、男子117位、区間131位

エイドを出発すると紅葉台への長い上りが始まる。この上りが高低差表で見るよりしつこい。上っても上っても次の上りがまっている。これを攻略すると次は最後の足和田山。気持ちだけで上りきると急激に下り河口湖に出る。この下りが急で着地で足底が痛む。精一杯に走るが遅い。ここで飛ぶように駆け下りた外国人の女性ランナーと何度も出くわしたアイスランドのランナーに追い抜かれた。

山上から見える河口湖。いつ麓へ下りれるのか、どこに下りるのか、そんなことがばかりを考えていた。ようやく河口湖に下りるが、まだゴールは約3kmも先。湖に沿って歩道をひた走る。早く終われ。ゴールはどこ?これを曲がるとゴールが見えてくるか?そんなことばかり考える。

ゴールの八木先公園に近づくと応援をいただくようになった。やっと終わる。もう走らなくてすむ。ゴール手前で友人を見つけ手をとりゴールゲートをくぐった。

「やった〜!、やった〜!、やっとゴールだ。キツかった。長かった。もう走らなくていい。やっと休める。やっと寝れる。」

ゴールでは鏑木さんに出迎えていただいた。
「大変なコースだったでしょう?」「本当にキツかったです。本当に疲れ果てました。でも、ありがとうございました。」

記録は32時間23分38秒。やっとの思いで辿り着いたゴール、2年越しで達成できた完走。しかし、想像していたような感動で泣いてしまうことはなかった。それは、目標の30時間以内の完走にはほど遠い結果だったから。嬉しさ半分、悔しさ半分といったところ。ゴール直後に思ったことは、来年は走りたくない!だった(笑)でも、一晩寝ると来年もう一度走り目標を達成したいとの決意に変わった。

何よりも最後までサポートしてくれた友人に本当に感謝。サポートがあったから一周できたのだと思う。各エイドで必ず待っていてもらえて、本当に力をもらえた。苦しい時には、次で待っててもらえるから絶対に辿り着かないと!と考えながら進んだ。「一人で走ってんじゃねーぞ!」

そして、コース上で誘導や応援してもらったスタッフの方々やエイドのスタッフの方々、本当にありがとうございました。UTMFを走ると応援から元気をもらえることがよく分かる。
天子山塊の各ピークで風が吹きすさぶ中、上ってくるランナーを待っててもらえる。応援が嬉しい、体調を崩されないように。


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煌々と輝くフィニッシュゲート。ここに帰ってくることを夢見てきた。

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鏑木さんに出迎えてもらえ、声をかけてもらえる。ありがとうございました。

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完走ベストを手に持ち記念撮影。もう限界…の顔。(笑)

A11鳴沢~フィニッシュ河口湖 11.4km(スタートより169.0km)
到着予定/19:46(1:50)、通過時間/23:23(2:11)
総合128位、男子116位、区間117位

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宿でぐっすりと寝た翌朝、完走ベストを着てゴール会場へ。ようやく完走できた実感が沸いてきた。まずは完走できて本当に良かった。ようやく100マイルレースのスタート地点に立つことができたかな。来年のUTMFへ向けて、将来のUTMBへ向けて日々精進。

落ち着いてレースを振り返ってみると、来年へ向けての課題が見えてきた。
目標から遅れてしまった原因は、エイドでの滞在時間が長いこと、睡眠をとってしまったこと。終盤に設定ペースから遅れてしまったが、それまでは大きな遅れはなかった。
100マイルを完走できたことは大きな自信となった。もっと自力を高め、ペースを上げ、休憩を短縮し、来年は目標を達成したい。

まだまだ成長できる!

ようやくUTMFのレースレポートは今回で終わり。ここまで読んでいただいてありがとうございました。今後、100マイルを目指す方に少しでも参考になれれば嬉しい。
レースも長いが、レポートも長かった。(笑)



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