「ロードのフルマラソンは、長距離のランニングの中で究極のレース。」
とは相馬剛選手が以前に語られた言葉。

ロードで鍛えたスピードと心肺機能を山でどれだけ活かせるか、どれだけ進化したかを山で試したい。僕にとってマラソンは一年の練習でどれだけ速くなったかを測るベンチマークみたいなもの。

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そのため、年に一度はマラソンを走るようにしていた。仕事の都合があり春のマラソンは厳しかったので、いつも秋にマラソンを走っていた。でも、秋はどうしてもハセツネからのリカバリーを優先となってしまうから、マラソン練習は殆ど出来なかった。今年は、職場の環境が変わり通年を通してレースの予定を立てることができるようになった。アクセスのし易さと手頃な参加料から篠山マラソンにエントリー。

2月15日の西濃駅伝と3月1日の篠山マラソン、2週間のインターバルでロードレースの予定を組んだ。基本となる練習は、平日はロードのインターバル練習を週に2回。土日は雪の無い低山でバーチカル練習とロードのインターバル練習。どちらも心肺と身体に高い負荷をかけて耐える身体を作っていく。昨年まで行っていた距離を踏む練習を止めて、量より質を求めることにした。

ざっくりと決めた目標は、まだ根拠のない篠山マラソンでサブスリー達成。そのために、1月から始めたインターバル練習は、最初は500mを5本やるのが精一杯だった。そこから、徐々に距離と本数を延ばしていき、本番1週間前には1kmを8本やれるようになった。(10本いけそうだったけど余裕をみてストップ。)
その成果があって駅伝で前年より区間PBを2分短縮でき、1kmあたり3分50秒を切るペースで走れるようになった。この手応えがあって、サブスリーを本気で狙えるかなと思えるようになった。

きちんとしたマラソン練習は、レース8日前に行ったサブスリーペースの30km走とレース4日前の11kmのビルドアップ走のみ。まぁ、オーバーワーク感は否定できないが、直前まで山でバーチカル練習ばかりで、ロード練習を行う時間がなかったのが本音。ペース走を1本もやらずに本番を迎えるより、1本でもやっておいて走りきる自信が欲しかった。

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ここで篠山マラソンをご紹介。
黒枝豆で有名な兵庫県篠山市の長閑な田園風景が広がる市街地を舞台に行われる。
関西では、以前から人気の伝統あるレースだが、近年の都市型レースの人気で少し陰に隠れてしまった印象がある。しかし、今大会はエントリー開始から10時間で10,000名の定員となり、最速で締め切りとなった模様。

10年前の初マラソンがここ篠山で4時間30分ほどで完走した。後半は脚の痛みで屈伸ができないほどになってしまい、歩きと走りを繰り返す苦しいレースだった。10年振りの参加でこれまでの自分の成長具合が見れるようで楽しみだ。

さぁ、迎えた本番は天気予報通りの雨。そして、かなりの雨量で止む気配は全くない。

スタート2時間前に会場付近に到着した。近くの駐車場は満車ばかりだったので、会場から2.5km離れたホームセンターコーナンの屋上駐車場に入れた。普段は屋上駐車場は使用していないようで、マラソンのために空けてもらえているそう。とても有り難いが、ちと遠いのが難点なところ。

相変わらず強く雨が降っているのでギリギリまで車内で待機しようと決めた。スタート1時間前に車を出て会場へ向かおう。(この判断が後に重大な問題となった…。)
レースウェアに着替えて、荷物預けの準備をしたり、ゆったりと準備が出来た。暖かい車内で快適な時間を過ごした。車を降りて店内入口の踊り場で柔軟体操を行う。何となく、他の参加者は急ぎ脚で出ていくようだ。全く気にも留めずいつもやっているルーティンの柔軟を行った。さぁ、行こか!

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350台が駐車可能な屋上駐車場はこの通りの満車。

レインウェアを着て会場までアップを兼ねてジョグで向かう。もちろん、この時点からお決まりの短パン。走りだしから身体の動きは良いようだ。上手く疲労が抜けて本番を迎えられた。

会場に到着すると、スタートブロックの入場が始まっており大混雑。急いで荷物預けのブースへ向かう。遠くから「整列…10時30分…閉鎖します…」??「閉鎖しま〜す…」??「そんなルールあったっけ??」でも、荷物を預けないとどうしようも無いので、急いで荷物を預けてAブロックへ走る。

「ガーーン!」「閉鎖で〜す!」「何とか入らせてもらえない?」「スミマセン、閉鎖です。」
『OHHHhh MY GOD!!!』(泣)

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〜参加案内から抜粋〜

きちんと記載されていました! きちんと読んでいたつもりがボケボケだった。
そして、更なる問題が後ほど…。

もうこうなった以上は仕方ないので、がら空きになったトイレで用を済ました。普通なら皆さんは整列されているからトイレはスイスイと使える。でも、整列していないランナーがちらほら。同じ境遇の方もいるだろう。

ここで、まだ入場待ちで選手が整列しているBブロックを発見。何気ない顔で並んでみた。すると、スルスルと入場できた。「やった! 入れた〜。」入場して間もなく閉鎖となった。間一髪セーフ。

実際に入場するとギューギューではなく、少しゆったりとして整列している。ただ、雨の影響でスタートゾーンの3分の1は泥水で溢れていた。少しずつ前へ詰めていきスタートを待つ。背後にいらした同じAブロックの選手とこの境遇の話をした。ふと、足下を見て愕然…。計測チップがシューズに着いていない…。「あっっ、無い…。」背後の方に「チップが忘れましたわ。大丈夫すかね?」「測ってくれるんと違います?」「でも、ゼッケンにチップ付いてないから測れないですよね」「ちょっと取ってきますわ」「前から出た方が近いですよ」「そうすっね」と急いでブロックを出て荷物預けへ向かう。

一度荷物を戻してもらい、カバンの奥に入れていたチップを取り出す。「忘れてた〜。」シューズに取り付け、さっき出たゲートに向かうが、やっぱり入れてもらえない。出るのは容易いが入るのは難しい。(笑)こうなると最後尾のDブロックからのスタート。またトイレで用を済ませる。時間に余裕があるので。(笑)

こうなってしまうと、レースを辞めようかという思いが頭を過る。でも、父親が応援に来てくれているばずだし、辞めてしまうのは簡単だが申し訳ない。大きなハンデで背負ってしまったが、諦めずに前だけをみて走ろう。いけるところまで全力で飛ばしていこう。いくしかない。変な気負いは無く、リラックスした気持ちでスタートを待つ。

当日の出走者は約8,300名。10分前にスタートした陸連登録の部は約1,160名。僕が走る未登録の部は約7,140名。スタートは、ほぼビリから。

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〜大会ホームページより〜

登録の部がスタートして10分後の10時50分に未登録の部がスタート。だが、大渋滞のためスタートゲートを通過したのは11分弱が経過してから。よし、行くぞ!

コース上はどこを見渡しても人、人、人の大渋滞。車道と歩道の隙間、ランナーの隙間をスルスルと抜けてどんどん抜いていく。歩道にジャンプで上がったり、また戻ったり。抜いても抜いても次々にランナーの波が押し寄せてくる。抜いていくのは大変だが、身体の調子は良くスピードを保っていける。フォームも安定しているようで腕もしっかりと振れている。いいぞ!いいぞ!

このコースは、距離表示が5kmごとの表示で(これも把握して無かった…。)ペースが掴みづらい。運良く見つけれた「2km」の表示で時計を確認すると、8分36秒。いいペースだ。このペース感覚を頼りに飛ばしていこう。

抜いていくランナーのゼッケンが「D」から「C」に変わり、「B」になりようやく「A」が見えるようになってきた。本来の「A」ゾーンに戻れたのはだいたい10kmを過ぎた頃だったように思う。

スタート〜5km / 21分07秒
5km〜10km / 20分56秒

ここまでの進路変更や歩道にジャンプしたりの繰り返しで右脚のすねの横の筋肉に張りを感じるようになった。でも、調子は相変わらず良いと自分に言い聞かせた。

10km〜15km / 21分19秒
15km〜20km / 21分40秒

15kmからは上り基調。少しタイムが落ちてきている。脚が重くなってきているように感じるが、「諦めるな!この調子でいけ!」と自分に言い聞かせた。

20km〜25km / 21分36秒
25km〜30km / 21分57秒

20km〜25kmは、上りがキツくなる1番の難所。なんとかペースを保てるように耐えるしかない。27kmを過ぎた頃に折り返してきた上位選手とすれ違った。見た目のスピードが思っているより自分とスピードの差が無いように見えた。「今日の自分は遅くない、頑張れ!」と言い聞かせる。

30km〜35km / 21分57秒
35km〜40km / 22分03秒

30km過ぎの折り返しを通過して、ようやく今日のレースを完走できる実感が沸いた。実のところ、走り出すまでこのペースで最後まで走れるか不安があったが、ここで確信に変わった。もうかなり疲れているが耐えてやるしかない!あと12km、頑張れ!

この苦しい時に何度も頭を過ったのは、「川内のギアは一体いくつあるんだ!?」と叫ぶ実況の声。川内選手とはレベルが全く違うけど、何度も思い返し力を振り絞り脚を前へ出す。



踏ん張る川内選手は、目を見開き歯を食いしばり必死の形相で走っている。この30kmからの走りはサブスリーを目指し、死に物狂いで走った。前へ進むことしか考えなかった。

全力を出し続けようとすると、川内選手のように何度も目を見開き、歯を食いしばり前しか見ていない。そうしないと、ペースを保って走り続けることは出来なかっただろう。

徐々に低くなっていくサブスリーへの可能性を信じて、無我夢中で走った。残り距離をカウントダウンしながら全力で走る。コースが渋滞することは無くなったが、まだまだ前のすべてのランナーを抜き続ける。

40km〜41km / 4分25秒
41km〜42km / 4分21秒

残り2キロ地点で見たタイム掲示が2時間53分を過ぎていたように思う。普通なら諦めてしまいそうだが、1%以下の可能性に懸けてラストスパート。もう苦しくて苦しくて、脚を思うように前へ出せないが最後の力を振り絞り走り続ける。

「川内のギアは一体いくつあるんだ!?」

いけるぞ、いけるぞ、諦めるな、諦めたら後悔するぞ。走れ!

ゴールの篠山城の石垣が見えてきた。あの角を曲がればゴールだろう。あと500m。脚がもつれそうだ。フォームは無茶苦茶だ。でも、一歩でも前へ。最後に前にいる集団を全員抜いてやる。うぉ〜!

渾身のラストスパート。全力を出し切った。今まで1番苦しかったレース。ゴール後に倒れはしなかったが、歩きはフラフラだ。完走メダルを首にかけてもらった。

タイムは、3時間2分…。届かなかった。悔しい。力が足りなかった。

計測チップを回収してもらうため立ち止まった。思わず「くそ〜!」と叫んでしまった。ボランティアのこの子には申し訳なかった。

ゴールしたけど充実感は全くなく、悔しさばかりがこみ上げてくる。涙が止まらない。ボロボロと泣いた。悔しくて悔しくて。まだ雨が降り続いている。雨と涙が頬を伝った。

グロスタイム 3時間13分38秒、ネットタイム 3時間2分44秒、未登録男子201位

ざっと、7,000名以上のランナーを追い抜いたことになる。次は普通に前からスタートして、もう一度サブスリーに挑戦したい。可能なら秋に再挑戦したい。

大きな悔しさと大きな手応えを得たレースとなった。昨年のいびがわマラソンから17分のPB短縮となった。あの時にこのスピードでマラソンを走るようになるとは思いもしなかった。出来ると思って練習をすれば出来るようになる。出来ないと思えば一生出来ない。

この悔しさをバネに今年はもっと苦しい練習をやって更に速くなってやる。山でも更に鍛えて強く速くなってやる! 今年の進化はスゴいことになりそうだ!!

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ゴール後は寒くて震えながら着替えた。少し気持ちが落ち着いて記念撮影。
チームTMR、頑張りました!

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Trail Mix Running は滋賀県から発信する、関西のフィールドを楽しむトレイルランニングツアー。
当ブロガーが皆様をサイコーなトレイルへご案内します。
ただいま、以下のイベントのエントリーを受付中です。

2015年4月18日(土)〜19日(日)開催
「Trail Mix Running × Dai Matsumoto スカイランニング スペシャル セッション」
①スカイ ランニング スペシャル セッション at 伊吹山(4月18日)
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③スカイ ランニング スペシャル ツーリング at 霊仙山(4月19日)
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2015年3月15日(日)開催
「ワイルドな岩山と大展望、ミステリアスな不動寺に感動! フォーピークス湖南アルプストレイルラン」(滋賀県大津市)
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